荷内思考開発所

ありがちなことばでありがちなことものを考えてみる

エンタメ性と「深度」について

さいきん楽しくBrandNewAnimalとかいうアニメを観ている。7話まで観た。ネタバレは知らない。

昔のアニメを観る際にはたのしく感想ブログや話数ごとの感想まとめブログを見ながら一話ずつ観ていくことが多い。twitter等の感想を検索すると最終話までのネタバレが目に留まってしまうので、話数ごとの感想を見れるこの手のサービスが自分の視聴スタイルとは相性がよさそうだという風に行きついた。

 

そこで、よく見かける感想として、「エンタメ性が薄い」「盛り上がらない」というワードに出くわすことがある。

ここで書かれる「エンタメ性」とは何か?我々はその言葉の意図を探るためにアマゾンの奥地へ探査を……

 

とかいう冗談は置いておいて、ここでいうエンタメ性というのは何をさすのだろうか?

 

実は自分はTRIGGERやガイナックスのアニメ作品はほとんど見たことがない。リアルタイムでプロメアの映画は見に行ったことがあるが、「背景の描写が綺麗だなあ…」「アクションシーンの迫力がいいなあ」などといった感想を得たのち、内容はおおむね忘れた。それが初TRIGGERだったと思う。そのあと、さいきんサイバーパンク2077がアニメ化されるということで、サイバーパンクエッジランナーズを見たところ大変刺さった。

興味を持ったのはそれ以降だと思う。
このアニメについてはリアルタイムでたぬきに熱狂している人が周りにいたのでたぬき美少女アニメということは知っていたが、SNSに流れてくる絵があまりにもたぬきだったのでいわゆるケモナー的感性がなく、獣表現のアニメに興味がない自分はそこまで興味を持たなかった。(今のところ(1~7話)カメレオン獣人が一番自分にとっては魅力的に映る獣人体だと見える。もともと爬虫類人間は好きなので。変わってるとは思う)

 

話はそれたが、まあ、そういうわけでこの手のエンタメアニメ自体の視聴経験があまりない身としては、ものすごく話を分かりやすく、なるべく説明口調にならないように身振り手振りを交えて簡潔に、可愛い狸とミンクのポップで感情豊かな可愛らしい仕草で飽きさせないように、いかに飽きさせないか、全面に視聴者の目を引き付け続けるような工夫を凝らしている作品に見えるのだ。

 

これでエンタメ性が薄いとすると、昭和のヒューマンドラマ系邦画とか見たらぶっ倒れそうだな……等思ってしまった。

 

エンタメ性とは何なのか。おそらく、視聴者の求めているものと作品で描かれている内容があってない場合にそういう風に言われるのだろうと思う。この作品の一つ前に「id:invaded」というアニメ作品を見たのだが、これは「どうやら面白いらしい」というレビューを前から見かけていて気になっていた作品であった。

この作品は、ターゲットとなる客層と絵柄があってないため、見込み視聴者を逃したのではと言われている作品らしい。

こちらの作品も大変楽しめて、大変感化された(感化されてばかりだな)。そちらの作品について「エンタメ性が薄い」というコメントはあまり見たことがなかった。

しかし客観的に見て、たぬきの方が「エンタメ性」は高いように見えるのだ。

 

たぬきについて、思ったより内容が(2話ラストのキレだすシーンは意味不明だったが)矛盾していないというか、内容に穴がない作品だなという感想がある。この手のアクション作品にしては意外とサスペンスよりなんだな、というか、台詞は最低限で異様に少ない割には意外と踏み込んだ内容だなという感想を抱いている。想像よりかなりしっかりしている印象があって、小ネタの一つ一つや誰も見てなさそうな舞台設定にしろどうしてそうなっているか等の意味があったりして、よくありそうな、「賑やかしだし深く考えずにテキトーに作りました、雰囲気いいしOKでしょ感」はあまりない。おそらくそういった所に尺や内容のウェイトを割いているところが、エンタメ性が薄いと言われるゆえんなのかもしれないと思った。

 

あるいは自分の側が、たぬきの可愛さに目が曇ってるだけな気もしている。

 

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意味のない言葉の羅列によるとりとめない、しかし全体像として意味を浮かび上がらせる歌詞を書いている

※3月ごろに書こうとしてタイミングを逃し、「感情的負債」となっていた内容を再び思い出しながらまとめようと下記事です。

 

意味のつながらない単語の羅列によるとりとめない、しかし全体像として意味を浮かび上がらせる歌詞を書いている。

一つ一つの言葉、一つ一つのフレーズには本当に意味がない、文章としては全くつながらない、意味のない言葉の羅列だ。

しかし、全体像を眺めた後に浮かび上がるのは、ある特定の意味、内容、情景、感傷だ。つまりそこにメッセージはあり意味はあり、何か特定の出来事を表しており、そして意図と意志がある。明確に作者の意志が浮かび上がる仕様になっているのだ。

最近はこのような言葉遊びのような戯れが好きなのだが、しかしこれは意味のない詩のようで作品であり、つまりそこの意味をなしていない無意味な言語軍の裏には明確に意味はあるのである。

そういった遊び=作品のような歌詞を作るのが好きだ。

そしておそらくこのルーデンス(遊び)はAIには理解されないところのこととなろう。

 

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たぶんこんな感じの話だった気がします。そのとき歌詞は完成しました。

 

何かについて強く考えたことはどこかに書かないと負債となる

日常において、ふと、何かについて強く感じ、思いを馳せ、考えたことはどこかに書かないとのちのちに精神的な負債となるなあと。

 

「まあその程度いいか…」という思いから日々の繁忙さに記録することを辞めてしまう、そのときはそのときでいいけれど、後々「確かこういうことを考えていた」と漠然と脳内の記憶スペースの一角をその思考と記憶と感情が喰って少し現実の今生きているもっと大事なことへの思考が鈍る感じがするんだよな。
……なので思ったより、考えたことを言語化して外に出したほうがいいのだと思った。

 

これは余談だけれど、普通の人の「無難な思考」「余計なことを言わない」感じが羨ましくて真似をしていたことがある。というか基本的にその感じで永らく過ごしている。しかし、その結果どうだろう、それは自分に合っている手法だったのだろうか。結局このように、まったく一般化されない俗人化された文章を書き、自分の脳内であふれんばかりの思考は収まる気配もない。いや、ある程度は収まっているのだが、こう、描き始めると止まらないというか、要するに「何も変わらない」。何も変われないのならもっと何者かであるべきで、さっさと小説家先生にでもなってしまうのがいいのだろうと思う。

 

おそらく記憶の外部化が必要なんだよな。今は覚えていないけれど、その情報/もとい感情のありかは分かっている。あの位置に格納されているし、どこでも取り出せる、っていう安心感とかいうやつ。そういうのがないと、ふとした時に安心して忘れられない。

特化型人工知能(AI)は神ではないが多くの人達はそのことを直感的に理解できない

ChatGPTやStableDiffusion,Midjourneyのような一般に使いやすい機械学習系のアプリケーションを使ってみた人たちの反応を見ていて、気になる部分があった。
(ChatGPT(文章生成系)、Diffusion,Midjourney(画像生成系))

 

まるで、彼らの多くはそれらのアプリケーションが自発的に「考え」、考えた結果を「生成」しているように捉えているように見えるのだ。

 

自分からすると、ChatGPT等はネット上に転がっている関連ワードを一瞬で集めてくれるお手軽な収集装置にしか見えないのだが、(※制度の良い検索ブラウザのようなもの)どうも、多くの人はそうは捉えていないらしい。


実は勉強しているようであまり勉強しているわけではないので、プロセスについて具体的なことは述べるのを控えていたが、とはいえ、微分方程式モデルの数値研究をしていたものとして、直観的にどういう現象なのかわかる部分はある。

つまり、それらのアプリケーションは内部処理として「考えて」いるわけではなく、集めた情報の値を内部の数値モデルに当てはめてその結果を出力しているだけであるということだ。

 

こちらの人のざっくりとした画像モデルの解説に興味深いことが書いてあった。

https://twitter.com/svltart/status/1591187799902130176?s=20&t=r6sGsdZpSU7oHrDT57rusA

 

 

最後の画像の左はアフガンガールに類似して出力されてしまったAI生成画像である。


https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20131001/367287/?P=1

 


ここでの解説を見るに、現在の機械学習画像生成アプリケーションには学習元の絵に類似した点の部分が出力されやすいという本質的な特徴がある。
かなりざっくりといえば、「参照元にした画像そっくりになりやすい」ということだ。

三次元的な「構造」を本質的に理解しているわけではない、このタイプのピクセルベースの二次元画像抽出アプリケーションがどのようにして違和感の少ない画像を生成しているのかが不思議だったが、この説明が正しいとすれば、ある程度納得がいく。

 

たとえば、3DCGソフトの人型キャラクターが、スタジオでスキャンした人間の動きを違和感なく転写して再現するのは、あれは骨の配置や回転角などの人体の解剖学的な情報をあらかじめ人間のデザイナー(リガ―)がそれらの3次元的な特徴点の集合である3Dモデルに紐づけて指定しているからである。

そうした前準備がない無作為の画像を大量に読み込むだけでそれらしい画像を再構成できてしまう理由が謎だったが、その理由は、なんのことはない、元の特徴点に近い画像が抽出されやすくなっているだけの仕組みだったらしい。

また、生成画像の良し悪しを判断し、最後に選ぶのが人間である以上、選ぶ側の人間は自然に見える、より元の学習元の画像に近い特徴を持った画像を選んでしまいがち、という現象もありそうだなと思った。

どうやら、AIが独自に合成した絵柄というよりは、絵の制作者名ロンダリングに近い仕組みであるという風に見えている。いまのところ。

https://https://twitter.com/svltart/status/1591187799902130176?s=20&t=r6sGsdZpSU7oHrDT57rusAtwitter.com/svltart/status/1591187799902130176?s=20&t=r6sGsdZpSU7oHrDT57rusA

モラトリアムが持続しなかった時代について

興味深い本を読んだ。新型うつというのは、モラトリアムによる回避、依存等のパーソナリティの偏りによって発生したうつ状態なのではないか、と指摘する本だ。こちらの本である。www.kinokuniya.co.jp

この状態は近年の若年層に多く、以前はこのようなうつ状態になる人はあまり多くなかったと言われている。もしそうだとしたら、その原因は何なのか。自分はどちらかといえばそちらの変化の方に興味を持った。

 

結論と言えるのどの結論には至っていないが、いくつかの仮説は思いついたのでここに記しておこうと思う。

1)会社の正社員の構成世代が飛んでいるため、ジェネレーションギャップが大きく出すぎてしまった 
就職氷河期世代が就職しなかったので、彼らの存在が会社内において顕在化せず、会社内での構成比の多い世代が10年ぐらい飛んでしまって互いに価値観のすり合わせができなくなってしまっている可能性がある。そのため、急な変化に若手側が合わせざるを得ない形になった結果、若手の気苦労が増えてしまっている可能性がある

 

2)世代ごとの権威への従順さの違い

自分から見たところの上の世代というか、ヤンキー漫画が流行っていた世代、またそれより上の学生運動の世代、それらの世代が学生だった時代には「社会権威は反抗してもいいもの」というコンセンサスがあるように伺える。

もちろん学生運動などは純粋な犯行ではなく、ある程度たきつけられたものではあるが、構造自体をたどれば純粋な犯行ではないにせよ、等の学生側の意志としては、「権威の体制に反抗してやった」という自覚があったことには違いはないだろう。

いっぽう、今のミレニアル世代、Z世代はどうか。少なくとも表向きは権威へ反抗するという意志表示はほとんど見られなくなった。そのあたりの感覚の違いが、「本心では納得はいかないものの表向きは波風立たないように合わせておく」という彼らの行動に反映されているのではないか、という仮説も立てられる。あくまで推論レベルの話にすぎない

 

3)景気の違い

これについてはよくわからない

 

あくまでも仮設レベルの話ではあるが、思いついたところを列挙してみた。結論はまだない。

広大な人口と肥沃な大地を誇る国

広大な人口と肥沃な大地を誇る国……は日本のことでした。


外国の人とアプリでチャットしてたんですが、日本は強大で強い国だとヨーロッパの人に言われてピンとこなかったんですが、確かに大きくて強い国だということを知る機会がありました。

 

アメリカから買ってばかりいないでそれぞれの国が自分の所で国産のものを内製する流れになったほうが良いよね」と何の気なしに言ったところ、それをできるのは人口規模が大きい一部の国(日本やドイツとか)だけだ、と言われて、自分の国の必需品すら自分の国で内製出来ないことが常識となっている国の事情を知りました。

 

よく、日本の教育や制度は駄目だ、北欧のフィンランドスウェーデンなどから学ぶことがある、と言われますが、そういう国は、産業規模が小さすぎて飛行機車船舶の一つ作ることができないという実情があるのです。

 

日本の比較する外国って中国とアメリカだと思うんですけど、世界のほとんどの国は中国とアメリカではないわけです。ロシアを韓国以下のGDPとバカにする向きはありますが、そもそも韓国もロシアも世界的にはめちゃくちゃ強大で人口が多くて産業も強いトップ群な訳なんですね。赤道から離れたところにあるほとんどの国には日本の地方レベルの人口しかおらず、産業規模も小さいわけなんです。

https://www.jetro.go.jp/invest/investment_environment/whyjapan/ch1.html より

www.jetro.go.jp

 

確かに現在は食料品の多くを輸入に頼っていますが、もともと江戸時代にも3000万人の人口はいたといわれ、緑に恵まれる豊かな大地に日照率も高い風土のため、国土の狭さの割には自給率も上げることは可能でしょう。

地震と台風が多いことをのぞけば、かなり肥沃な土地の部類なのではないかと思いました。

AIは既に絵師の仕事を奪いっています(過去形)

うぇーい。誰からも見られていないであろう本ブログですこんばんわ。

こういう記事を見かけたのでざっくり短文のブログを書いてみます。

togetter.com

これは、ワンクリックで絵が自動で生成できたよ!すごいね!という内容の記事なのですが、はてさてこの記事の方はAI使いが上手いですね。指示の出し方が的確なんだと思います。

 

そこで話を戻しますと、ここで懸念されている「AI(自動作画)が絵描きの仕事を奪っているか」についてですが、自分の知っている限り、自動作画は絵描きが本来描くはずだった絵の仕事をきちんと奪っています。やったね。

なんで知っているかといえば自分がやっているからです。
受け取っている方からは手描きだと思われているっぽいのでわざわざ発言するなどといった野暮なことはしませんが、そういうことです。

自動で描画したそのままではなく多少は人間の目と手で違和感がある部分を手直ししているので、自分でも描いた絵と見分けがつかないです。

 

なので皆さんが議論するべきは、「AIで絵師が仕事を奪われる未来がくるかもしれない」というIFの話題ではなく、「人間のイラストレーターの仕事を減らさないための自動ツールをどこまで規制するかの具体的法案の制定」の方をテーマにするべきでしょう。そういう時代になっています。すごいですね。