多分それは色鮮やかで美しい眩暈なのだ。
右を見れば「人間」左を見れば「人間」モニターを見ればモニターの向こうへ「人間」外へ行けば野山に行かない限り「人間」
どこを見渡しても人間の痕跡がする。
あまつさえ、人間の生活圏のことを「世界」と何の疑いもなくいってはばからない人も多い。
人間が決して嫌いではない気がするから、構わないといえば、まあ構わない。
しかしながら、見渡す限り人間であるこの世界に、たまにくらくらして距離を置きたくなることがあるのも決して嘘ではない。
距離を置いて閉じこもれる場所なんて実際どこにもないのだけれど。