荷内思考開発所

ありがちなことばでありがちなことものを考えてみる

クラウドファンディングについて、実のところこんなことが起きていました。 ~その2

そして4月中旬には、10万円弱でストップという、予想通りの厳しい状況になりまして、本来の私のクラウドファンディングはそこで終わっている予定でした。

 

そこで、4月末~5月にかけて、不思議な自体がおきました。
急に50万円コースに支援が入りだしたのです。


私の50万円コースは、アニメPV映像を受注生産しますという内容で、広告系の映像制作の相場よりは若干お得感のある値段設定にしておりましたので、そういうところで興味を引くことができたのかな……と思っておりましたら、全く違う理由だったようです。

50万円コースが購入されたあと、50万円コースの支援者と名乗る方から、私へ直接連絡が来ておりました。
そして、「あなたのアニメーション技術に興味を持ったので、是非、私が出資するからそのお金でアニメーションソフト用の特許出願を行って欲しい」と伝えられたのです。

つまり、支援されたお金を、今回のクラウドファンディングの目的であるアニメ制作ではなく、別の用途で使用するようにご要望されたのです。

 

首を傾げつつも、私自身、特許のお金を集めること自体は本望ではあったため、つづけてやり取りを進めていきますと、
「アニメの制作よりも、真っ先に特許出願を優先してください」
「50万円コースのリターン(アニメPV映像制作)は不要」

twitterで窮状を訴え、日に三度は宣伝してください」

当時はアニメソフトの作成にもアニメ制作と同じぐらい興味があったので、「アニメの制作よりも特許を優先するように」という要望の異質さを見逃していました。
もっとも大量にお金を出している方からそう言われると、首を傾げつつも、無視しづらかったので、宣伝頻度を増やし、スタイルも変更ました。

私は相手の要望に対するイエスを表明する明確な言及を避け、ご支援ありがとうございます程度の文面しか書かずに、徹底して相手の要望を無視し、様子見をすることにしました。

そうしてやり取りをすすめていくうち、入金されているお金が100万、150万を超え、そして、相手方の要求はエスカレートしていきました。

「ソフトウェアが完成した場合の売り上げの分け前をいくらか%分配してください」
「今回のクラウドファンディングを通じて私が支援したお金を出資金にして、会社を作り、先にソフトウェアを3年以内に開発、リリースしてください。出来なかったら一部返金してください」

200万円を超えました。
もたもたしているうちに、
「契約書を送ります。判子を押して送り返してください」
「アニメ制作よりソフトウェア制作のほうを優先してください」

 

この段階で、私はクラウドファンディングの中止を非常に検討しておりました。
「この勢いで入金され続けると、早々にプロジェクトが達成され、私のアニメ制作着手を快く思わない出資者から得た割合が非常に多いお金が私の手元に届いてしまう」「当然、その方以外の全ての支援者さんは、私のアニメ自体に興味を持って円盤を先行購入してくださっているわけで、私はアニメを制作する義務を負うわけです(が、その多額出資者さんがだいぶ厄介なクレーマーになりそう…)」
「それを未然に防ぐなら、(外からの印象は非常に悪いものの)プロジェクト自体を中断し、入金を未然に防ぐのが一番堅実」
という結論に至りました。

 

そこで、まずは、断固としてお断り差し上げたうえ、ツイッター上でなにとは明言せずに、「今回のクラウドファンディングはアニメ製作資金を募る意図のもので、クラウドファンディングページにもそのようにお約束しておりますし、ページに掲載されたリターン以外は一切お約束いたしません」「数百万程度で統合型アニメーションソフトウェアはとてもではないですが制作できません。完遂をお約束するには億単位の資金が必要です」とご説明させていただいたところ、権利関係もろもろを諦めていただいたという文面をいただいたのち、お引取りいただけました。

クラウドファンディングサイトに入金された200万を残して。


「主催者都合によるクラウドファンディングプロジェクトの強制中止」という、外部からの印象が最悪になる手段を防げたものの、これどうしよう……っていう感じでした。まあ、どう使ってもこれ以上揉め事にはならないとはいえ、とはいえ、気分のいいお金ではありませんので、このお金を「どう認識する」べきか、、は最後まで悩みました。

失敗したおかげでその悩みが晴れた点は本当に良かったです……。

 


このタイプのトラブルは、クラウドファンディング会社さんにも前例がなかったそうで、それを防ぐためのすべを準備していなかったそうです。

私はそのことにも驚きましたし、さらにいうと、「このタイプのトラブルの対策がまったくクラウドファンディング業界で行われてこなかった」=「トラブル対策を行う必要がないぐらい、クラウドファンディング業界の支援者さんは物分りが良くてお行儀が良い集団だった」=?という不思議な感想を抱きました。

どう解釈するかは皆さんに任せます。

今回の場合は、おそらくブロック機能……つまり、プロジェクト主催者側が「企画の意図を読み違えたり、別の目的でお金を支援しようとする出資者からはお金を受け取らない」ための機能があると、このようなトラブルでプロジェクト中止を考えずに済むと思ったのですが、今までのクラウドファンディングは規模的にも、そのような誤解を招きにくかったのでしょうか……よくわかりません。

「購入型クラウドファンディングの企画の意図を読み違えたまま出資する」というのは、つまり、間違えて不本意な前売りチケットを買ってしまった、と同義なので、そういったお客様が窓口にいって、「別のチケットを買わされたんだけど!」と半ばクレーマーのようになることは、規模が大きなBtoCになれば、全然ありうることだと思うのです。
そのためにお客様対応窓口のコストを全て自前で用意する必要があるのだとしたら、クラウドファンディングは全然割に合わないな……というのが私の感想です。

たとえば、今回なあなあにしたままお金だけそのまま集めて、その数百万でアニメを制作し、ソフトウェアは後回しにして三年後も当然未完成…だった場合、クラウドファンディングで集めたお金の使い道という契約上はまったく問題がないものの、先方からすると、「私の要望を裏切られた!」「出資時に伝えたようにお金を返金してください」と認識される可能性がありまして、その対応コストを考えますと(代理人をつけたり)非常に面倒だなあ……という感想を抱きました。

 

ここまで上記にかいたような、対応が出来る自信がない方は、身のためにやらない方がいいと思います。

 

最後のほう、SNS上にて、アニメ自体の宣伝は行いつつも、ご支援宜しくお願いします方面にはいまいち積極的ではなかったのは、そういう事情もあったかたちになります。

 

それでは、長々とご閲覧くださりどうもありがとうございました。