荷内思考開発所

ありがちなことばでありがちなことものを考えてみる

割と冗談じゃなく、今の日本のマンガ・アニメはジャパニーズ・モダン・浮世絵だと思っている

ジャパニーズ・ガラパゴス・ウキヨエ

 

その流通している文化圏の当事者は決してそれが独自の文脈による洗練されたデフォルメ技術だとは、気付かないような、エンターテイメント文化。それがジャパニーズ・ウキヨエ

とすると、現代のマンガアニメゲームなどは、十分ジャパニーズ・ウキヨエ たる資格があるように思える。

 

江戸時代のジャパニーズ・ウキヨエは、包装紙に刷られたまま、その大胆なデフォルメ・色彩・構図・意匠・テーマをもって、まったく別の文化圏を持つ人々の目も引いた。

当時の日本の絵画の特徴として、ざっくりといってしまえば、デフォルメをしているものの、全体としてはそれほど意味不明でも、素っ頓狂でも、空間がめちゃめちゃでも、ない。ということがあるのではないかと思う。

つまり、デフォルメとエンターテイメントの皮をかぶった写実表現。

それが江戸時代の当時、「普通だと認知されていた」日本の絵画の特徴なのではないかと思う。

 

さて、現代の日本のデフォルメテイストの写実文脈絵画はどこにあるか?(写実という単語を使うと、写実主義絵画、のように捉えられかねないので避けたほうがいい気もするが、まあ、それとは別文脈の、もっと大きなくくりでの「写実(=概念的な画ではない)」である)

そこにある!あなたの部屋のコミック棚の中だ。

 

現代美術において、美術界の潮流は、「写実でないもの」を求められるようになって久しい。

ただそれは、現代において、普通の写実的絵画表現があまりにもそこらじゅうにありふれているから、そもそもそれらは「美術」いや、「画」だと、認知されすらしていないのに等しいのではないか?

 

だから未来の美術史から省みた、現代の写実系の絵画文脈における巨匠は、巨匠と認知されないまま、今のこのエンターテイメント界隈のどこかにいるのかもしれないですね。