荷内思考開発所

ありがちなことばでありがちなことものを考えてみる

アンドロイドが夢見るのは電気羊なのだろうか/意外とふわふわな羊を数えて安眠するのかもしれない、という駄文。

少し前のニュースであるが、人工知能について、興味深いニュースがある。

 

「東ロボくん」、センター模試の偏差値は45 : 教育 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20131125-OYT8T00555.htm

 

 大学入試のペーパー試験に特化した人工知能で、センター試験模試を解かせた結果、

387点(満点は900点)だったという。

 

まず最初に抱いた感想は、思ったより点数が低いな、ということだった。国語などは出来ないにしろ、数学はこの手の計算機器は満点がとれて当たり前なのではないか?ということだった。

 

追加の記事をいくつか読むと、どうやら、この人工知能は、普通の人間が冊子を読むように問題を文章から読みとって解くことを要求されているらしく、つまり数学の問題を解くときも、「数学の壁」ではなく、問題文という、「文章の壁」に阻まれているらしい。

成程なあと思う反面、もし英語圏などのインド・ヨーロッパ語族の試験だったら、結果は違ったのかもしれないなあ、という考えも頭をよぎった。文法や語順が日本語よりも、数学言語(※1)寄りの語順の言語だったら、この人工知能の模擬試験の点数はもっと高得点だったかもしれない。

 

人工知能の社会への影響や倫理的な側面については全く触れなかったが、それについてはまた機会があれば書こうかと思っている(かもしれない)。

 

(※1)数学言語 という言葉は無いので、僕の思い付きの造語だが、数学は、大学数学以上になると、少し、独特の文章のような表記で理屈を表すようになる側面がある。

例えば、数学には、ε-δ論法という微積分の発想の基礎となる概念の証明方法があるが、それは「∀ε>0, ∃δ>0 s.t. ∀x∈R, 0<|x-a|<δ ⇒|f(x)-f(a)|<ε」というように表記し、「For any ε>0, there exists a number δ>0 such that 0<|x-a|<δ for any x∈Rimplies|f(x)-f(a)|<ε」と読む。s.t.は such that の略であり、つまるところ英語である。もちろん、日本語の読み方も訳されているが、普通に会話に混じったとしたら、そのままでは意味のわからない日本語である。表現の硬さもあるが、語順が日本語と違うのだ。

英語だと、見ての通り、読めなくもない語順になっている。そういう意味で、これを数学言語とするなら、英語のような語順の言語なら、日本語より親和性は高いだろうという意味で、本文中では使用した。